本特定領域A04班の緑川克美先生の研究グループの研究成果が米国の科学雑誌『Physical Review Letters』(3月3日号)に掲載され、アト秒パルスのモード分解自己相関測定を行った結果を表す図はこの号の表紙を飾りました。

緑川グループでは、従来より世界最強強度の極端紫外光を発生に成功しており、本研究成果は、その極端紫外光を用いてアルゴン原子の2光子超閾イオン化過程を引き起こし、450アト秒という大変短い時間幅のアト秒パルストレインの自己相関測定を世界に先駆けて達成したというものです。モード分解(光電子のエネルギー分解)測定を行っていることから、原理的には高調波間の相対位相を決定することが可能であり、この方法を用いることによってアト秒パルストレインの波形の詳細を知ることができることものと期待されます。
また、コヒーレントな高次高調波の重ね合わせで生成されたアト秒パルストレインは、1.33秒ごとに連なった形で構成され、高強度の高精度超高速シャッターを手に入れることができたことを意味します。従って今後は、可視・赤外レーザー光では観測ができなかった、原子分子の超高速現象を実時間で捉えることが可能になるものと期待されています。
この研究成果は、 Y. Nabekawa, T. Shimizu, T. Okino, K. Furusawa, H. Hasegawa, K. Yamanouchi, K. Midorikawa, Phys. Rev. Lett. 96, 083901 (2006). に発表されております。