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過去のメッセージ

強光子場の科学を学ぶには?

山内 薫

最近、「強光子場科学とは何ですか?」とか、「強光子場の科学のことを勉強したいのですが、何か良い本はありますか?」とった質問を聞くことが増えました。「原子、分子、物質が、強い光と相互作用するときにどのような現象が起こるか?そして、その現象はどのような仕組みで起こるのか?」という問題こそが、強光子場科学の中心テーマです。

また、「アト秒(10^-18 s) の科学の時代に入ったと聞きますが、どのようにアト秒領域の超短パルスを生成するのですか?」といった質問も寄せられるようになりました。実は、アト秒パルスは、極めて輝度の高いフェムト秒領域の超短パルスを用いて、高次高調波を発生することによって生成することができます。高次高調波は、原子や分子中の電子が強光子場下で揺すられることによって発生されますので、アト秒パルスは強光子場科学の発展とともに生成可能となったのです。

日本では、強光子場科学研究懇談会 (Japan Intense Light Field Science Society: JILS) http://www.jils.jp/という学会が平成15年に設立され、日本国内の強光子場科学関連の学術的会合を開催すると同時に、国際シンポジウム International Symposium on Ultrafast Intense Laser Science (ISUILS) http://www.isuils.jp/を主に海外で毎年開催し、強光子場科学分野の発展と研究交流を国際的なスケールで支援しています。このJILSでは、強光子場科学の発展の状況を、単行本の形でまとめ、刊行しています。これは「強光子場科学研究の最前線1」という本です。

書店での店頭販売はされていませんが、学術書籍ネットショップhttp://pub.bunken.co.jp/shop/1.htmlから購入することが可能です。この本の各章は、JILSの懇談会(年に3回開催される)にて行われた講演内容に基づいてまとめられたもので、話し言葉の雰囲気をそのまま伝えられるように編集されていますので、強光子場科学の現状や、アト秒発生技術が読みやすい形で紹介されています。なお、JILSでは、「強光子場科学研究の最前線2」の刊行に向けた編集作業がはじめられようとしています。

(平成20年9月8日)